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『ねことじいちゃん』



ねこまきさんの『ねことじいちゃん』、読みました。本当にすばらしかったです!


おばあさんに先立たれた大吉じいちゃんと10歳と7カ月の猫のタマ。

『ねことじいちゃん』はそのタイトル通り、猫とお年寄りばかりの島で過ごすひとりと一匹の日々を描いています。



縁側(全猫飼いの憧れ!)でタマと一緒に黄昏時の空を眺めたり、タマが買い物に行くじいさんについていったたり、桜舞う季節には一緒にお散歩したり。

巡る四季と穏やかな日々をずっと見つめていたくなる作品です。

 

猫と人と題材にした作品は数あれど、特徴的なのは『ねことじいちゃん』では死をテーマにしていること。

やさしいタッチに包まれていますが、描いているものは確実に“終焉とその前”なのです。



猫とお年寄りの多いこの島では身近な人の死がありふれたものとして描かれます。

じいちゃんはタマがいつか死んでしまうことをよく知っています。タマが先か、自分が先か。
それは誰にもわかりません。


読み手も一緒で、この生活は必ず終わるのだとどこかで感じるから愛おしくなるのでしょう。

だからといって、この作品を読んで悲しい気持ちになることはないのかな、とも。


1巻ではおばあちゃんのさっちゃんが、病床のなか自分がもうダメな時は白黒猫のみいちゃんをどうかよろしくと友人のおばあちゃんに伝え、その言葉を受けたおばあちゃんが、さっちゃんの死後みいちゃんを引き取ったというエピソードがあります。

一度猫を飼った人はまた猫と暮らしたくなるとはよくいいますが(もちろんそうでない人もいます)、人が猫を誰かに託すように猫もまた自分が逝く時に他の猫に人を託しているのかもしれません。

お互いに巡り巡る縁の中で生きているのかもしれませんね。

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