福岡を出るまでの小学校〜高校時代、私の花見といえば
近くの公園まで自転車を走らせて、たった一本の桜の木を見ることでした。
小学校1年の頃に小倉から宗像へ引っ越した可和又一家は、
山を切り開いで開発された住宅地に住んでいました。
周囲を見渡せば、まだ建てている途中の一軒家ばかりで、
もう少し向こうを見ると山を重機が走り、
緑の森のがどんどん開かれ、茶色い部分がむき出しになっていました。
そういうところを抜けて、貯水池を通り過ぎ、林の中のぽつんぽつんと建つ
古い一軒家たちを通りすぎていくと、ゲートボール場とブランコ、鉄棒、
砂場などがあるこじんまりとした公園にたどりつきます。
本当に小さく、おじいちゃんおばあちゃんがぱらぱらといて、たまに
親子連れが散歩にやってきたりする場所で、私は一人でブランコにのったり
ベンチに座ってジュースを飲んだり、
公園の中に1本だけある桜の下でごろごろしながら、
薄い桃色と青空を眺めて、太陽で目が痛くなったり、
おじぞうさんを眺めたり、葉っぱを拾ったり、
好きに過ごしていました。
飽きたら自転車で周辺を走って、まだ戻ってきて、また同じことをする。
そういう花見を、していました。